附属病院・関連病院
柏病院脳神経外科は、千葉県東葛地域を中心に、この地域の方々への医療を担当するだけでなく、治療の専門性から埼玉県や茨城県南部からも患者さんの相談やご紹介をいただき、日々の診療を行なっております。
日本脳神経外科学会の認定研修施設であり、学会認定の専門医が5名在籍しております。年間の手術件数は300件を超えており、定時手術および救命救急センターとの連携による救急手術を行なっています。脳腫瘍、脳血管障害、脊椎脊髄疾患、機能的脳神経外科など多岐にわたる専門分野の治療を通じて、患者さんに幸せを提供でき、同時に、若手脳神経外科医の育成にも力を注いでいる施設であると自負しております。
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
合計 | 317 | 373 | 388 | 351 | 323 | 371 |
脳血管障害 | 93 | 127 | 162 | 152 | 144 | 142 |
(開頭手術) | (31) | (36) | (40) | (28) | (32) | (29) |
(脳血管内治療) | (62) | (91) | (122) | (124) | (112) | (113) |
脳腫瘍 | 73 | 61 | 69 | 76 | 63 | 86 |
脊椎脊髄疾患 | 59 | 84 | 68 | 61 | 47 | 61 |
てんかん・機能性疾患 | 6 | 4 | 4 | 5 | 2 | 8 |
外傷 | 51 | 52 | 41 | 38 | 43 | 38 |
小児脳神経外科 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他 | 35 | 45 | 44 | 19 | 24 | 36 |
近年、脳神経外科における各分野でも高度な専門性が要求されます。当院では各分野の専門的知識、技能を有する脳神経外科医がそれぞれ専門外来を開設しております。
当科では2009年9月より脳腫瘍専門外来を開設しております。
この外来では、地域がん診療連携拠点病院として、脳腫瘍と診断されてお悩みの患者さんを広く受け入れております。原則としてはこれから治療が始まる患者さんと当科の術後の追加療法を行っている患者さんを対象にしておりますが、紹介状をお持ち頂いた方については、他院ですでに治療が開始されている患者さんや脳深部で摘出不可能と判断された病変の方についても、セカンドオピニオン希望という形でご相談を承っております。その結果、悪性脳腫瘍(グリオーマ、転移性脳腫瘍)の末期、進行性病変のため他院では手術治療を含む治療が望めないと判断された患者さんでも、状況に応じて積極的な治療を提案させて頂いています。(文責:長谷川譲・勅使川原明彦)
「顔が痛い」「虫歯も無いのに歯が痛い」「瞼がピクつく」「頬がひきつる」等、顔にまつわるトラブルが脳神経外科の対象疾患であることに驚かれることと思います。
前者二つの訴えは三叉神経痛、後者二つの訴えは顔面けいれんの症状かも知れません。
いずれも脳幹から出た脳神経(三叉神経、顔面神経)の基部に血管が触れて異常信号を発している結果、前述したような症状が現れている可能性があります。
三叉神経痛は、冷たい風に吹かれた、冷水を飲んだ、歯の治療をおこなった等の日常生活のなかで発症するケースが珍しくありません。
また顔面けいれんは、主に下眼瞼のピクつきから始まり、次第に頬から口角、最終的には前頚部まで広がります。
いずれも生命に関わる病態ではありませんが、前者は痛くてものが食べられない、歯が磨けない、後者はしっかりとものが見られない、引きつった顔が気になって人前に出られない等の生活制限に及ぶことがあります。
治療は、三叉神経痛には服薬、神経節ブロック、ガンマナイフによる放射線治療、外科的治療が、顔面けいれんには服薬、ボツリヌス毒素による神経筋ブロック治療、外科的治療があります。
どの治療法を選択するかは、外来にて担当医との話し合いで納得するまで相談して決めることになります。(文責:長谷川 譲)
慈恵医大 柏病院では、脳血管系の病気に対し患者さんの病態や要望に応じて、カテーテルを駆使する脳血管内治療と開頭して直接患部を手術する直達手術を適宜選択して提供しています。その際には術中の血管撮影やCT画像撮影などを行って安全で確実な手術を図っています。
現在、開頭手術と脳血管内手術は併せて年間約150件の手術件数を誇っています。また、脳動静脈奇形や脳硬膜動静脈瘻、頸動脈狭窄症、もやもや病など稀少疾患の診断・治療も、最新の血管撮影装置を駆使し、安全と正確性を重視して行っています。
夜間・休日の脳血管障害救急患者さんに対しては、当院、救命救急部・脳神経内科とも連携し、24時間365日対応出来る体制を備えています。(文責:府賀 道康)
脊椎脊髄の疾患による症状は多岐にわたり、頚椎病変では頚部痛や手の痺れ、お箸が使いにくい、ボタンが掛けにくいなどの細かい作業の障害(巧緻運動障害)さらに、歩行時のバランスが悪くなるなどの症状が出現します。腰椎病変では腰痛、お尻から足にかけての痺れや痛み、筋力の低下、排尿排便の障害を来す場合もあります。
それぞれの疾患について、患者さんのQOL(生活の質)を改善することができるように、また、症状の悪化を食い止めることができるように手術治療を検討しております。症状、神経所見、MRIやCTなどの画像所見から総合的に判断する必要があり、経験豊富な医師が診断、手術治療についてご相談いたします。(文責:栃木 悟)