当講座には GLP 準拠の血管撮影装置施設(Siemens Artis Zee floor®)を保有しています。
この血管撮影装置の特徴として、通常の血管撮影に加えて、脳循環を評価するソフトウエアが搭載されています。
また、同時に高解像度 MRI(9.4T)が隣接されており、極めて詳細な血管構造を解析することが可能となっています。(9.4テスラ Biospec 90/20 MRI装置 (ブルカーバイオスピン株式会社; エットリンゲン, ドイツ) これらの充実した研究装置を用いて国内および海外の研究機関と共同しながら新規の医療機器開発を行っています。
近年、ステント等の金属を用いた低侵襲なカテーテル治療が広く普及しています。しかし、コイルやステントは金属製であるために血液適合性に乏しく、留置後に血栓形成を引き起こしえます。そのため、抗血小板薬を長期間服用する必要がありますが、その服用期間については医師の経験に基づいています。我々はファージディスプレイを用いてステントやコイルの金属部分を検出する短鎖ペプチドを開発しました。ステントやコイルは、血管内へ留置後、徐々に血管内皮細胞で被覆されていく。そのため、この短鎖ペプチドを用いるとステントやコイルの内皮化を可視化することができ、科学的根拠に基づいて抗血小板薬の服用中止を正確に判断でき、医療費削減にもつながると考えています。
Kodama, T., A. Yoshihara, I. Goel, M. Sekino, A. Kuwahata, A. Yoshimori, Y. Murayama, et al. "Identification of Metal-Binding Peptides and Their Conjugation onto Nanoparticles of Superparamagnetic Iron Oxides and Liposomes." ACS Appl Mater Interfaces 12, no. 22 (Jun 3, 2020): 24623-34.