神経外傷・スポーツ頭部外傷
頭部に外的エネルギーが加わることによって生じる一時的な脳の神経機能障害です。基本的には一過性であり、時間経過とともに回復します。しかし症状が多彩で診断に時間を要したり、生命の危険に関わる頭蓋内出血(特に急性硬膜下血腫)が隠れていたり、繰り返し脳振盪を起こすことで将来的に認知機能低下のリスクが高くなる可能性があったりするため、注意が必要です。特に最近ではスポーツに関連した脳振盪が注目されており、より安全にスポーツを行う上でしっかりとした予防と診断が重要となっております。
多くは頭痛や嘔気、見当識障害、めまいなどです。受傷時に意識を失うことがありますが、ないこともあります。そのため、意識を失っていないから脳振盪でないとは言えません。その他、バランスが取りづらい、気分が落ち込む、なんだかスッキリしない、音や光に過敏になるなどの症状もあり、多岐に渡ります。
特別な治療はなく、基本的に安静にして症状の改善を待ちます。脳振盪を受傷した直後は再び脳振盪になるリスクが高く、また重大な頭蓋内出血が隠れていた場合に再び頭部への外力が加わると生命の危険に関わることがあるため、適切な診断と十分な安静が必要です。特にスポーツにおける脳振盪は、適切な診断と受傷後から競技復帰までの管理が重要となります。スポーツ中に頭部に外力が加わり、その後少しでも様子がおかしいと感じたらまずはプレーから離れることが大切です。その後、専門機関で画像検査や身体診察を受ける必要があります。プレーへの復帰については各スポーツ団体が段階的復帰プログラムを作成しており、それらに従って頭痛などの症状がないことを確認しながら軽い運動より練習に再開していきます。