小児脳神経外科
頭蓋変形には前頭部や後頭部に左右差のある斜頭症や前後方向に伸びない短頭症、左右方向に伸びない長頭症などがあります。頭の形が歪む原因としては「頭蓋骨縫合早期癒合症」と「位置的頭蓋変形症」があります。頭の骨には頭蓋骨縫合という縫合部があり、生まれてから脳の容積増加に伴って縫合部を中心に拡大します。一般的に縫合は生後18ヶ月頃に癒合しますが「頭蓋骨縫合早期癒合症」のお子さんは早期に癒合が起きるため骨成長が障害されて頭の歪みが起こります。一方で「位置的頭蓋変形症」は向き癖等で頭の同一部位が圧迫され扁平化して歪みが生じるもので外力による変形です。これらは一見すると区別がつかないこともあり頭部レントゲンや頭部CT検査が必要になることもあります。
頭蓋の発育が障害されて頭蓋狭小や変形が起こります。頭部レントゲンや頭部CTで診断します。頭蓋が拡大しないことで脳の成長発達に影響が出る場合や顔面骨の変形により整容面に影響が出る場合は手術を検討します。手術は頭蓋骨を切離し頭蓋容積の拡大を行う開頭手術や骨延長器という装置を留置する手術があります。当院では外来から入院、手術まで形成外科と合同で治療を行なっております。
向き癖等による頭の同一部位の圧迫で起こる頭蓋変形です。多くは後頭部の変形で、片側が扁平化する斜頭症や全体が扁平化する短頭症です。まずはご自宅で体位交換や向き癖矯正を行なっていただきます。クッションや円座枕(ドーナツ枕)などを使って矯正することも良いでしょう。寝返りが始まると矯正したい方向に長時間向けることが難しくなる場合があります。ご自宅での矯正が困難で変形が重症化してくる場合はヘルメット矯正治療を検討します。治療は首がすわる生後4ヶ月頃から開始可能で、治療期間は約6ヶ月です。頭蓋の扁平化した部分に空間を作り、突出した部分を抑えることで矯正を行います。当院ではまず頭蓋変形の診断(頭蓋骨縫合早期癒合症の有無)や変形の程度を診察させていただきます。ヘルメット矯正治療の詳細については外来診察時にご相談ください。